足関節の異常
足関節は、解剖学的には脛骨・腓骨を含め24個もの骨で形成され、関節の数は12にも及ぶ非常に複雑な構造をしています。また、それぞれの各関節を個々にまたがる筋肉がないという特殊な状態を呈していますので、それが、アライメント異常を起こしやすい状態を作っています。個々の関節を調整する筋肉がついていないせいで、運動筋の緊張のアンバランスが、ダイレクトに関節運動を変えてしまいます。
足関節に異常を呈する原因は捻挫などの外傷によるもの、生活の中のクセによるものなど様々です。
しかし、人類が直立二足歩行である限り、身体の最も下部で身体を支えている構造の問題は次第に膝・股関節・骨盤・腰部にまで二次的な問題を波及させる可能性があります。
捻挫後の足首痛
足首の捻挫の約97%は内反捻挫という外くるぶし側の靭帯が引き延ばされるタイプのものです。急性の外傷には、PRICES処置いう炎症を鎮める方法をとりますが、その後軽度の捻挫であれば2週間ほど固定されることがほとんどです。この足首が固定されている治癒過程で損傷している足首外側の靭帯と隣接する組織との組織癒着が起こります。
また、足首が安定しないため、その代償として腓骨筋の腱鞘炎を引き起こす事もあります。
カイロプラクティックでは、組織癒着が起こっている組織をリリースし、足関節のアライメントを調節していきます。さらに固定が長期であれば、姿勢制御に関与する足底受容器の回復、筋力の回復を行っていきます。
足底腱(筋)膜炎
足底の踵から5本の指に伸びる足底腱(筋)膜と呼ばれる膜の炎症であり、起床してからの歩き始めに痛みが増強し、日中は軽減するという特徴があります。痛みは足底筋膜の走行上であればどこでも起こりうりますが、踵の骨付近が好発部位です。
X線上では踵骨に、足底筋膜への負荷の増大や、足関節の機能不全によって骨棘(骨が過剰に増殖したもの)の形成が認められます。原因として足底のアーチが崩れた状態でのランニングやダンス、長時間の立ち仕事が挙げられます。
カイロプラクティックでは、足底腱(筋)膜にストレスのかかりにくいよう足関節のアライメントを調節や足底筋膜の過緊張を取り除き、足底腱(筋)膜が治癒しやすい環境を整えます。また、素足で歩かないなどの日常生活でのアドバイスで治癒促進を図ります。
前足根管症候群
足の親指または人差し指の痺れまたは痛みを伴う神経絞扼性障害です。①足首の下内側にある下伸筋支帯のトンネル部もしくは②足部中央の短母趾伸筋腱との交差部で深腓骨神経が締め付けられることにより、感覚異常が起こります。登山靴やランニングシューズ等の靴ヒモで強く圧迫したり、ヒールを日常的に履く方、ボールを蹴るサッカー選手に多くみられます。素足や安静時では症状が軽減するため、軽視されがちな問題です。
カイロプラクティックでは、足根部のアライメントを整え、神経を絞めつけている筋の緊張を和らげる等して原因を取り除きます。また、長・短腓骨筋、母趾伸筋、短趾伸筋と呼ばれる足首を安定させてくれる筋肉の筋力低下を伴うことがありますので、筋力を回復するような施術を行います。
その他、神経の絞扼部位にパット等を入れるよう指導します。
後足根管症候群
内くるぶしの下を通っている神経や筋、血管の通り道を足根管といいます。この足根管を通る後脛骨神経の圧迫により、足裏からつま先へかけてのしびれ、足首・内くるぶしの下の痛みといった症状が出現しますが、足の甲には症状が出ないのが特徴です。夜間に症状が悪化する傾向にあります。
カイロプラクティックでは、足根管を広げるように足関節のアライメントを整え、足根管を形成している屈筋支帯の緊張を和らげることで問題を取り除きます。