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スポーツ障害

急性期、炎症期の施術のプロトコル

施術の段階には初期、中期、長期と大きく分けて3つの段階があります。

 初期段階では炎症が起こっているため、痛みが最も強く、当然可動域も大きく減少しています。この期間は外傷後から72時間程度続きます。この間は痛みと炎症のコントロールが一番重要です。最も手軽に行える対処法としては安静にした状態での10分間のアイシングです。可能であるならば圧迫と拳上も効果的です。この初期段階は先ほども述べたように痛みが最も強い時期ですので施術者として出来ることはそう多くはありません。しかし、慎重にマニピュレーションとモビリゼーションを行えば回復を早めることが出来ます。

 中期段階は外傷を受けた組織の修復が始まっています。この過程は外傷を受けた2日後から始まります。この時に関わってくる細胞としてマクロファージという細胞があります。このマクロファージが修復細胞である線維芽細胞を活性化させます。線維芽細胞はコラーゲンの中にあります。コラーゲンは全身の皮膚や骨、腱や臓器など様々な場所にあります。この修復細胞が破壊された組織を再構成します。再構成にかかる時間は損傷の度合いによって異なりますが腱や靭帯の場合は2か月で損傷前の30%程度です。重症の場合は損傷前の強度を回復することはないといわれています。

断裂等の重症でない場合、この中期過程では施術は積極的に行うことができます。初期の痛みや炎症のコントロールではなく循環や関節可動域の回復、筋肉の収縮力の改善、様々なアプローチを行うことが可能です。ただし、ここで誤ったアプローチをしてしまったり適度な動きを加えなかったりしてしまうと、先ほど述べた線維芽細胞が正しい状態で修復せずに働いてしまいます。そのため組織が線維化してしまい柔軟性が失われ、やがて慢性化していき再び痛みを引き起こしてしまいます。この過程はスポーツをした後の原理と同じです。激しいスポーツをした後のストレッチとアイシングはとても重要なのです。また、この中期過程は施術者だけではなく患者自身にも積極的に体操やストレッチを行ってもらうと障害組織の循環が上がり、代謝も上がるため更に治癒時間の短縮が期待できます。

 長期過程に入ってくると受動的、または強制的に可動域の拡大をはかり、筋肉の強化や共同作業、運動動作などの評価がなされます。この期間中も患者に積極的に施術に参加してもらう必要があります。とくに損傷が大きければ大きいほど機能不全の度合いが大きく、不適切に再教育されてしまいます。受傷部位のみだけではなくその周囲の筋肉や腱、関節等の固有受容器に積極的に働きかけ弱化している筋肉の再教育を行います。

 以上、施術に関して3つの段階を挙げてみましたが、あくまでこれは各段階をカテゴリーに分けただけであり、症状が出た期間や損傷時間で決めつけて施術を行うのは間違いです。施術を行っていくうえで治ってもらうのは患者であって損傷ではないからです。患者一人一人にそれまでの既往歴があって初めて起こったことなのか、何回も起きていることなのかだけでも施術内容は変わってきます。それら一つ一つを踏まえて施術を行っていくことが当たり前のことですが、とても大切なことなのです。

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